人助け?・・・の巻
「あのう、旅の途中の者なんですが、すみません、携帯を充電させてもらえませんか?」
20代前半くらいのライダー青年が店に入ってくるなり、おずおずと切り出した。何だか憔悴しきった表情。
話を聞けば、1年という期限を決めて日本中を旅しているが、バイクが故障して困っているとのこと。携帯電話を充電する間、ライダー青年は自分が行く先々で各地の人々に温かく助けてもらったこと、本を書きたいと思っていること、地元静岡では漁港で働いていたことなどを話してくれた。
やってみたいと思っても、彼のように本当に実行することは難しい。純粋に応援してあげたいと思った。とは言っても、せいぜい充電1回分の電気と缶ジュース1本と地元情報くらいしか提供できなかったけれど・・・
それでも彼は、北海道まで行けば仕事の当てがあるから、お礼に魚を送ります!と言い残してまた旅立っていった。窮状の中、人からたくさんの温情をもらって旅している彼は、きっとこれからその何倍も人に温情をあげられる人間になるだろうなと思った。多くを受け取ろうとする人より、多くを与えようとする人の方がたぶんずっと幸せだ。旅の成功を心から祈ります。
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